その光を、追いかけて。








それから、ふたりで扉のそばに座りこんで、今までにないくらいたくさん話をした。



頬の傷や過去のこと。

そんなことは訊かなかったけど、家での過ごし方とか、仁葉の家のプードルのシュガーの話とか。



そんな、なんてことない話をポツポツと。



ふふ、思い出すなぁ。

梓ちゃんとも初めはこんな感じだったんだよね。



探り探りの会話。やりとり。

そんな中から小さなことに笑顔を浮かべて。






「坂元くんは梓ちゃんとも似てるね」

「それ、最悪……」



ぴしりと固まって、歪められた表情に首を傾げる。

そんなに嫌かなぁ?



「あ、大丈夫だよ!
似たものカップルって言葉もあるくらいだし!」

「は?」

「うん、仁葉はお似合いだと思う!
坂元くんと梓ちゃんなんて、美男美女だ!」



きっと素敵な恋人になれると思うんだよね。



「俺、河内のこと、好きじゃないけど」

「そっか、まだ気になる程度だよね」

「それも違う」





あいつだけは、ない。





そう、力説された。






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