その光を、追いかけて。
*
それから、ふたりで扉のそばに座りこんで、今までにないくらいたくさん話をした。
頬の傷や過去のこと。
そんなことは訊かなかったけど、家での過ごし方とか、仁葉の家のプードルのシュガーの話とか。
そんな、なんてことない話をポツポツと。
ふふ、思い出すなぁ。
梓ちゃんとも初めはこんな感じだったんだよね。
探り探りの会話。やりとり。
そんな中から小さなことに笑顔を浮かべて。
「坂元くんは梓ちゃんとも似てるね」
「それ、最悪……」
ぴしりと固まって、歪められた表情に首を傾げる。
そんなに嫌かなぁ?
「あ、大丈夫だよ!
似たものカップルって言葉もあるくらいだし!」
「は?」
「うん、仁葉はお似合いだと思う!
坂元くんと梓ちゃんなんて、美男美女だ!」
きっと素敵な恋人になれると思うんだよね。
「俺、河内のこと、好きじゃないけど」
「そっか、まだ気になる程度だよね」
「それも違う」
あいつだけは、ない。
そう、力説された。