その光を、追いかけて。
「これ、そんなに辛くないから仁葉でも食べれるんじゃない?
あたしも一口あげようか」
「本当? じゃあもらおうかな」
「はい、あーんっ」
にこにこ、きらきら。
語尾にハートマークがつきそうな口ぶり。
そして期待に満ちた瞳で仁葉を見つめる梓ちゃんに、くすりと笑う。
「あーん」
食欲をそそるカレーの香りが口の中に広がる。
もぐもぐと味わって……、
「んんっ!」
水を口に含む。
「梓ちゃん、だめだー。これ、辛いよ」
ごくごくと飲み干して、うう、とうなる。
舌がヒリヒリし始めた。
喉の奥が熱い気がするよ。
「これでも辛かった? ごめんね、平気?」
「んー、なんとか」
やっぱり仁葉には甘口しか無理だよ。
「子ども味覚な仁葉、可愛いわよ」
それ、喜んでいいのかな?
褒められてる気、しないんだけど。
ふふふ、と笑う梓ちゃんに複雑な心境になる。