その光を、追いかけて。




口の中の熱がおさまって、一息つく。



平気そうにカレーをぱくぱくと食べる梓ちゃん。

す、すごい……。



「そういえば、仁葉。
最近の坂元って丸くなったわよね」

「梓ちゃんもそう思ってた?
やっぱりそうだよね!」



屋上で話して以来、坂元くんは仁葉たちに前ほど冷たい態度を取らなくなった。

多少は返事をしてくれるんだ。



もちろん、すごーく仲よし! みたいにはならないけどね。



相変わらず、梓ちゃんとはしょっちゅう揉めている。

うるさいだとか、性格悪いとか。

ぽんぽんと交わされるこういう会話は見ていて飽きない。



でもね、やっぱり丸くなったと思うんだ。



それは、なんと坂元くんが自分から保健委員の藤原くんにお礼を言いに行ったから!



坂元くんが体調を崩したあの日、一緒に保健室まで連れて行ってくれた話をしたからだね。

ぎこちなくも「ありがとう」と口にした彼の姿にとっても嬉しくなったんだ。






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