その光を、追いかけて。
でも、坂元くんのことで気になることがひとつ。
「たまに、気まずそうにするよね……」
怒ってる時。
眠そうな時。
笑ってる時。
共有する時間の日々で、少しずつ色々な表情を見て。
小さな変化に気づけるようになって。
そして、ふとした瞬間に、坂元くんの表情が固まるの。
揺れて、戸惑う心が透けて見える。
仁葉たちからは訊けない、心の大事な部分を感じるんだ。
「気まずそうでも、あたしはどうもしないわ」
仁葉に被害はないしね。
そう言ってカレーを食べ終わった梓ちゃんがご馳走様でした、と手を合わせる。
「でも、心配になるんだもん……」
「仁葉は気にしなくていいのよ。
それで崩れるようならその程度の男ってことでしょ」
え、えー……。
そういうものなのかな?
「きっとそれは、あいつが自分で乗り越えなきゃいけないところなのよ。
……あたしが、そうだったみたいにね」
さぁ、教室に戻りましょう! と笑って話を変えた梓ちゃん。
少しの間のあと、仁葉はそっと頷いた。