その光を、追いかけて。




光ちゃんといた頃は、まだシュガーは飼っていなかった。

だから、シュガーは光ちゃんのことは知らないんだ。



光ちゃんは動物にも優しかったから、きっとシュガーも大好きになっていたんじゃないかな。



そうしたら、今みたいな時に一緒にお散歩してたかもしれないね。



叶わない想像だけど。

もしも話だけど。

ゆっくりと歩きながら、想像する。



もし、光ちゃんが今もそばにいたら、どんなに毎日がきらきらしてたのかなぁ。



きっと、朝日はなにより眩しくて。

水が指先から染みこむように透明で。

音が包む全てが愛しくて。



今ある世界中の傷が癒されるような、そんな特別な気持ちだったんじゃないかな。



でも、……わかってる。



光ちゃんはここにはいない。

仁葉がいつか会いに行くしかない。



そうしないと、絶対に会えないんだって。






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