その光を、追いかけて。








教室に着いて、座席表から自分の席を探す。

仁葉の席は左の窓際2列目の前から4番目。

梓ちゃんはそのふたつ前。



「1番前じゃなくてよかったねー梓ちゃん」

「そうね。これで仁葉と前後だったら文句なしだったのに」

「まだ言ってるの?」



くすくす。

笑いながらふたりでじゃれ合う。



そして次の瞬間、視界に入ってきたものに仁葉は目を奪われた。





「……きらきらしてる」





透けるように色素の薄い髪。

金髪、だよね。

初めて見た。



髪が、窓から入る光に当たって輝いているみたい。



「ねぇ! 髪、綺麗だね!」

「ちょ、仁葉⁈」



男子だし、髪の色も色だから、関わるべからずと思っていたであろう梓ちゃんを置いて、仁葉は駆け寄る。

にっこり笑って話しかけるも、ちらりとも目を向けられない。



「春休み中にでも染めたの?
この髪色の人、仁葉、見たことないと思うんだけど」

「仁葉! なに話しかけてるの!」

「え? 雑談だよー」

「刺激しないの!」



刺激ってまたひどい言い方だなぁと苦笑しそうになった時、






「うぜぇ」






目の前の彼が言葉を発した。






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