その光を、追いかけて。
「え、どうしたの?」
上下セットの有名なスポーツメーカーのジャージ姿。
ランニングシューズも汚れがついていて、長年使ってきました! って感じだね。
荒くなった息と、流れる汗が適当に走っていたわけではないことを明白にしている。
「……日課のランニング」
「日課⁈ 毎日走ってるの⁈」
「そうだけど」
な、なにそれ……。
坂元くんって走る人だったんだね。
体力測定の時も、走るところとかは見てなかったから知らなかったよ。
「お前は、なんでここに?」
「この前話したペットのシュガーのお散歩だよー。
今日は眠れなかったから、朝から!」
「わざわざこんなところまで来てんのか」
坂元くん、もしかしてぼーっとしてる?
酸素足りなくて、頭が働いてないのかな。
「ここ、仁葉の地元だよー」
「……」
安定の沈黙。
声を失っちゃった。
そういえば、この前聞いたけど、坂元くんって仁葉の隣の市に住んでるんだよね。
電車に乗るのもひとつしか違わないし。
予想外に、近かったんだ。