その光を、追いかけて。
うんうんと頷いていると、あることに気づいた。
仁葉は伺うように坂元くんを見る。
「ねぇ、坂元くんって毎朝走ってるんだよね。
だから朝いつもしんどそうにしてるの?」
「……」
ぐるん。
坂元くんの首が回り、目が合わなくなった。
これ、確実にそういうことだよね。
低血圧じゃなくて、早起きしてたからなんだ。
「すごいねぇ。
仁葉は運動音痴だから、わざわざ走りに行ったりなんてできないよー」
「走るだけなら、今も好きだから」
「走る……だけ?」
違和感の残る言葉に思わず繰り返してしまう。
じゃあ、昔は走ること以外も好きだったの?
うーん、と少し意味を考えるけど……詮索するのは悪いしね。
彼の傷に触れてしまいそうなことはやめとこう。
そっかー、と笑って見せた。