その光を、追いかけて。
その時、聞こえてきた足音。
タッ、タッ、タッ、と一定のスピード。
振り向いてみれば、さっきの坂元くんと同じようにランニングをしている男の子。
そして、その隣には自転車に乗る女の子がいる。
中学生か、高校生か……学生で間違いないと思う。
この土手、ランニングにぴったりだもんね。
結構走ってる人がたくさんいるんだ。
「みんな頑張ってて、えらいなぁ」
ね! と見上げた坂元くんの表情が固まっていた。
目を開いたまま、まばたきの回数が減る。
顔が青くなっていって、明らかに様子がおかしい。
「え、坂元くん、大丈夫⁈」
彼がゆっくりとあとずさる。
じり、という音がしたとそう思った直後。
「っ……、」
仁葉の悲鳴が響く中、坂元くんが声もなく、土手を滑り落ちて行った。