その光を、追いかけて。




キャンキャン! と声を上げて追いかけるシュガー。

仁葉も転けないように気をつけながら、ずずずっと少しずつ降りて行く。



「坂元くん、生きてる⁈」

「……生きてる。殺すな」



その場に滑っていった状態のまま上向けに寝転がる坂元くんが大きく息を吐いた。



草のついた体に、乱れた髪。

あの傷がまた見えている。



顔をぺろぺろと舐めるシュガーを撫でつつ、坂元くんは身じろぎした。

シュガーはもそもそっと彼の頭の横に落ち着いたみたい。



仁葉はぺたんとその場に腰を下ろした。



「心配するじゃんか、もう……。
なんで滑ってっちゃったの?」



髪をかき混ぜるようにする坂元くん。

そのまま腕で顔を隠した。



「思い出してたんだ」






────きっと、それは悲しいことなんだろう。



だってね、仁葉よりずっと大きくて、力も強くて、子どもっぽい雰囲気なんてない。

そんな坂元くんが……泣いてるみたいに見えたから。






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