エスモードアイドル

「美奈子、準備はできたか?」
「はーい!」

昨日は今日の不安やら、基本的な仕事の復習などであまり眠らなかった。それでも眠くないのは緊張からなのだろう

「ちょっと、あなた。本当に美奈子にマネージャーをやらせるの?それも、男の子の…」
「大丈夫だよお母さん。お父さんだっているし、私はあくまでアシストだからさ」
「でも…」
「美奈子の言う通りだ、それに美奈子は少し男の子に興味を持った方がいい。高校生の時だって、一度も彼氏ができなかったんだろ?」
「もー、うるさい!」

良くいえば勉強で忙しかったし、悪く言えばできなかったのだ。

「じゃあいってくる」
「いってきます」

見送るお母さんに二人で手を振りながら、私はお父さんの車に乗ると家を出た。まさか、このあとにあんな出会いがあるだなんて、思いもしなかった






「おはようございます、鷹宮社長」
「おはよう、柳くん。彼女が、前に話した今日から君のアシストに入る子だ」

私とお父さんの親子関係は色々考えて、一部にしか教えていない。このマネージャーのバイトだって、お父さんがいたからできたチャンスなのだ。

「よろしくお願いします、杉野美奈子です」
「柳武史(ヤナギ タケシ)です、こちらこそよろしくお願いします」

とりあえず名字はお母さんの嫁入り前の物を使うことにした。男に深々とお辞儀をされ、つられて自分も深くなる。眼鏡をかけた柳と名乗った男は、それこそ彼自身がタレントになれそうなほど整った顔立ちをしていた。一瞬目が合うとにこりと微笑まれ、少し顔が暑くなる

「じゃあ柳君、美奈子さんのこと頼んだよ」
「はい」

お父さんがいなくなると、私は柳さんに連れられて今日から担当する『エスモード』と呼ばれるアイドルグループの部屋へと案内された。

『エスモード』
ドエスなんていう若者言葉から誕生した、ドエス系アイドル。一見馬鹿馬鹿しいかもしれないが、これが以外と受けているらしい。この発想の原点が、実はお父さんに貸した私の恋愛漫画だとはけして言えない


















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