私には、ストーカーがいる
バイト先からアパートの部屋まで徒歩20分ほど。
平日だからか、人は少ない。単位落とさないように講義は出ているけど、基本、怠け属性な自分は本当に卒業出来るのか不安なところだ。
「……」
だーるまさんがー、と心で呟き、振り返る。
誰もいない。静かな住宅街が並んでいるだけ。
私の後をつけるストーカーさんに気付いてから、もう二ヶ月経っている。
私が気付かないだけで、もうしかしたら、だいぶ前からストーカーさんはストーカーに勤しんでいたのかもしれない。暇人だ。
素性が一切分からない男。
本当なら110直行なのだけど。
「あ、ドアノブに」
帰るなり、目にしたのは、ドアノブに吊された茶色のビニール袋。
中を見てみれば、玉子、もち巾着、ちくわ、大根、白滝三つ。
リッチな昼食を提供してくれるストーカーさんを、警察に突き出す気にならない気持ちは膨らむばかり。
怖いとかそんなのは微妙にあるけど。
「白滝うまー」
幸福度高なので、関係ない。
【白滝こそが免罪符】