私には、ストーカーがいる

ーー

体重が増えた。

「これ、絶対ストーカーさんのせいだ」

体重計に乗り、お腹の贅肉を摘まむ。

少し前までは、貧乏していたのに、最近やたらとストーカーさんが差し入れをドアノブや、台所のお鍋に置いていくから悪いんだ私悪くない。

「差し入れされても、もう何も食べないからー」

部屋のどこかに仕掛けられたカメラより、ストーカーさんに伝えておく。

「豆大福や、苺大福や、生クリーム大福や、期間限定の桃大福、ミカン大福、メロン大福とか、すっごく食べたいけど、いらないからー」

サンタクロースを信じなくなった年頃なので、ないものねだりはしない。

翌日、ウキウキしながらーーじゃない、普通に扉を開けたらドアノブにビニール袋が下げられていた。

あまのじゃく作戦成功だ。
体重増えようが、こちとらまったく気にしない。体重のくだりはブラフ。罪悪感にかられたストーカーさんが、大福よりももっといい物(白滝的な物)をくれるように仕向けた訳なのに。

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