運命ひとひら
そんな時、雪が降ってきた。
竹内は、ひとひら雪を手のひらにのせた。
その姿は、とても美しかった。
その姿に見とれていた。
そんなとき、私の体はぬくもりに包まれた。
いつか痴漢から竹内が助けてくれた時のように、竹内に抱きしめられていたのだ。
そして、私の目から頬へ涙がつたった。
そして、こうつぶやいた。
「ばか内。会いたかった。いきなりいなくなりやがって…
寂しかった。」
「ごめんな、長田。
でも、これからは嫌って言ってもぜってー離さないからな。
誰よりも愛してる、香苗。」
私の頬が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「私も。」
照れながら竹内を見上げると、いつもの通りドSの微笑みを浮かべていた。
竹内が私を抱きしめる力を強くする。
「香苗、上向いて。」
「なに…んっ///」
私の唇に竹内の唇が落とされた。
雪は強くなっていく。
まるで、運命がひとひら降ってきたような様子で。
私は、私のひとひらの運命を捕まえた。
『運命ひとひら』
〜fin.〜