運命ひとひら
いつも通りの稽古風景。
「あっ!!香苗ちゃん!!きてくれたんだね!今日みんな来なかったからさみしかったよー!!」
みのりんがいった。
「ごめん、みのりん。私剣道できないから、見学なの…。」
「えっ!なんで!!」
「骨折したの。」
「そうなの?大丈夫!?お大事に!」
「うん、ありがと!」
稽古が始まった。
今日は竹内は来ていないみたい。
そんなことをかんがえながら稽古をただぼーっと眺めていた。
ガラガラっと、ドアが空く音がした。
「こんばんは、お願いします。」
竹内の声だ。
なんで、竹内が来て、嬉しいなんて思っているのだろうか。
「よお、長田。」
「こんばんは。」
竹内は、私の手に一瞬目をやり、
「手、大丈夫か?」
そう聞いてくれた。
その瞬間、一粒涙がわたしの頬を伝ったのが分かった。
竹内は、「おい、どーした!なくなよー。」なんていいつつ、「外いくぞ。」そういって、外へでさせてくれた。