運命ひとひら
道場の終わった後、私は一人、道場の最寄りの辻堂駅へと歩いていた。
そして、私の足はあるところで動きを止めた。
ーーーここ、中学生の時に竹内に痴漢から助けてもらったところだ…。
あの時、竹内が来てくれて本当によかった。来てくれていなかったらどうなっていたかわからない。
それで、助けてくれたあともずっと一緒にいてくれたんだよね。
竹内が抱きしめてくれた時のあの温もり、多分一生忘れない。
でも、多分もう二度とあの温もりを感じることはできないだろう。
だって竹内は道場をやめたから。
もう会えない。
だから、
竹内の声も
竹内の笑顔も
あの温もりも…
もう、思い出すことしかできないのだ。