運命ひとひら



帰っているとき、先輩がこんな話題を持ちかけて来た。



「長田って彼氏いる?」



そんなものは、いるはずない。
なんせ、1日前に失恋したばかりだ。




「いないです!」

否定をした。


そのとき、風が吹いた。
その風は、冷たくて、何もかもを忘れさせてくれるのではないかとさえ、思った。


「だったら俺と付き合ってくれませんか?」





???????????



は??????????


はぁ?????????



正直、とてもかっこよくて、モテる星野先輩から告白されたことはすごく嬉しかった。

しかし、素直に喜べない自分がいた。






ーーでもさ、竹内のことはどうすんの?


そう、自分に問いかけていたのだ。
きっと、このまま思い続けていても、なにもいいことはないだろう。


星野先輩と付き合ったら、今は好きではなくても、いつかすきになることができるのではないだろうか。


そしてなにより、この竹内を思ってやまないこの切ない想いも忘れさせてくれるのではないだろうか…。



そろそろ、この思い出に浸っている恋には、別れを告げなければいけないような気がする。




「はい。よろしくお願いします。」





私は星野先輩と付き合うことにしたのだった。








さようなら。

私の初恋。



切ない竹内への恋心よ…。



















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