嫌い✕友達=彼氏!?
受験

何それおいしいの?

「何も変わっちゃいねぇ・・・」

春休み明け、久しぶりに着た制服は今年に入る前と全く替わらない。

のりでぱりぱりになっていることも無ければ、面倒くさがりのうちの母がクリーニングに出すなどと言う気を利かせてくれているわけも無く。

3年間一度も買い換えることの無かったセーラー服に袖を通す。

正直初めてこの制服を見た時、そのダサさに文句を言っていたが、こうもずっときていると愛着という物が沸くようだ。

今ではこの制服も十分可愛い物だと認識している。

「行ってきまーす!!」

家を出るとき、チラッと見た時計は7:45を示していた。

確かHRの開始は8:00。遅刻は8:10。

うちから学校まで25分程度かかる。

遅刻はしなさそうだけれど、これではHR開始に間に合わなさそうだ。

ナップサックを背負い込み、補助バックを落とさないようにしっかりと肩に掛けると、学校へ向かって走る。

「重いいいいい!!」

時間ぎりぎりだからか人気は無く、居るのはジョギングしたり、犬の散歩をするお年寄りだけだ。

又は私の仲間。

置勉をすると、先生によって家に電話をされるという何とも面倒な校則があるせいで、置勉の出来ない私たちは6時間分のバカみたいな量の教材を毎日持って登下校しなければいけない。

何の罰ゲームだ。

結局学校に着いたのは8:04。

昇降口に立つ学年主任の先生に挨拶も早々に、教室へ急ぐ。

10分までに教室に着かないと遅刻扱いになってしまうからだ。

とりあえず、教室が校舎二階であることには感謝しよう。

欲を言えば一階が良かったんだけど・・・。

長い渡り廊下を抜けると、目の前からは長身のスーツを着た男性。

社会科の和田晄良【わだ あきら】先生だ。

「始業式から遅刻か?」

「違いますぅ!まだ遅刻してませんー!!」

年がまだまだ若いこの先生。

加えてこの爽やかさと容姿。

身長は183cm、少し無造作に崩されているのに整えられたようなおしゃれさがある髪型。

スーツの似合う爽やかな雰囲気に、それに見合った笑顔。

生徒からの人気も、先生からの信頼も絶大だと言っても良い。

かくいう私もその中の1人。

正確には、その中でもあこがれや尊敬とは違う、そういう感情を持っているワケなのだが。

きっかけは中学一年の頃。

小学校でいじめを受けていた私は中学に上がる頃には根暗女子と化していた。

中学卒業と同時に今の家に転校してきた私は、根暗女子の上に、緊張が相まって全くしゃべることが出来なかった。

結局転校してきたときの自己紹介もまともに出来ず、一年の時は最低なことになった。

二年に上がり、友達の居ない私はクラス替えなど楽しみな物では無く、むしろ実刑判決のようなもの。
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