嫌い✕友達=彼氏!?
「はい。おはようございます」

「「「おはようございま~す」」」

見事に全員の声が揃った挨拶が出る。

先生はそんな私たちを見て一度微笑むと、自分の鞄から少し大きめな手帳を取り出し、パラパラッとめくると、今日の予定を言い出した。

「え~・・・今日は三時間授業です。1時間目は総合になります。え~・・・と、うちの学年は・・・。体育館ですね。そこで各自今年のクラスの確認をしてもらいます」

先生がそう言った瞬間クラスから緊張の声と、歓声が聞こえた。

先生は少し困ったように笑った後、さっきよりも大きめの声で続けた。

「2時間目は始業式だから体育館シューズに履き替えること!3時間目は大掃除!以上!!」

続いた言葉に教室は一気に怠げな雰囲気と過半数の男子からのブーイングでいっぱいになった。

私は自分の席の左斜め後ろに座る菜奈ちゃんと顔を見合わせて笑うと、一気に賑やかになった雰囲気に便乗して二人で話始めた。

「今年も同じクラスが良いね」

「ねぇ~!先生はやっぱり和田先生だよね!!」

「わかる~!」

菜奈ちゃんとは前回の席替えの時、席が近くなって以来とても仲良しだ。

前回とは言っても、終業式前の約一ヶ月前だからちょっと前の話だけど。

「一緒に体育館行こー」

「いいよー」

「早く行くべー」

二人で体育館シューズに履き替え、体育館へ行こうと席を立つと、ちょうど細谷歌織が来た。

この子は、私の趣味について唯一よく話す子だ。

もちろん菜奈ちゃんと一緒に話すのも楽しいけど、たいてい恋バナか勉強のことについて。

細谷の場合は小説やホラーやアニメの話。

私も細谷も世間的に言えば、オタクと呼ばれる世界の住民寄り。

アニメや声優の話をするのはとても楽しい。

あまりそういう話を知っている人が少ないから寂しい気持ちもあるが、色んな人が居るだけに色んな事に興味を持てるから悪くないなとも思う。

なんだかんだあったけれど、今は結構楽しかったりする。

「狭く深くが一番だよなぁ・・・」

「何の話?」

不思議そうに顔を覗き込んでくる菜奈ちゃん。

そんな菜奈ちゃんが可愛らしくて思わず頬が緩む。

「なんでもな~い。」

「いこっかー?」

「おー」

春休みの間、あまり連絡を取ることなく過ごしていたけど、私たちの関係は一切変わった様子がない。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop