イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「あれは……優しくされた事にはならないでしょ」
「あれだけ時間かけたのに優しくないって言われる筋合いはねーな」
「勝手にかけたんじゃない! 私は……ひどくしてって言ったのに」
バっと勢いよく見上げた私を、風間がじっと見る。
真剣にも見える瞳には悲しみのようなものが浮かんでいるように見えて……私に昨日の事を思い出させた。
昨日、たまたま帰りが一緒になって誘われるまま寄った風間の部屋。
そこで、祥太の何度目か分からない浮気が発覚した事を話した。
大学の頃から、風間とふたりで会ったりするのは珍しくはなかった。
最初の頃は一応祥太にも声をかけていたけれど、友達の多い祥太は五回誘ってみても一回くらいしか顔を出さない。
そんな事をしているうちに、声をかける事もなくなっていき、風間とは普通にふたりで会う関係になった。
とは言っても、友達として、だ。
会社帰りに寄った風間の部屋で、いつものように仕事の愚痴やなんでもない話をした後、祥太の浮気話を私から切り出した。
やんなっちゃうよね、本当祥太はしょうがないヤツだよねっていう、身内の笑い話のつもりで。
だってもう、消化したつもりだったから。
祥太の浮気が発覚したのは二週間前で、たまたま違う女の子と腕を組んでいる祥太とバッタリ会ってしまい浮気が発覚。
女の子を帰らせた祥太は、私に謝り倒して……私がそれを呆れつつ許すっていつものパターンに落ち着いた。
本当に毎度の事だ。飽きるくらいに。……でも、慣れはしないもので。