イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「おまえの考えは本当に甘いな。例え、その室井って女が祥太の事はもう好きじゃなかったとしても、あの時振られた腹いせにおまえをどうにかしようとか考えるヤツだって普通にいるんだよ。
なんでも自分のものさしで考えるな。危険をもっとちゃんと察知するアンテナつけろよ」
祥太に浮気を繰り返されているあたり、その辺のアンテナの事を言われても文句は言えない。
でも、私のアンテナが不良品だったところで風間にここまで言われる覚えはない……と言いたいところだけど。
こうして付き合ってもらっている以上、あまり偉そうには言えない。
「ついてくるって煩かった風間に頷いたんだからいいじゃない。
風間が、相手が何人で来るか分からないとか色々怖い事言い出すから」
「たいしてよく知りもしないヤツに一年ぶりに呼び出されて、ひとりでのこのこ出向けるおまえがおかしいんだよ」
「でも、女の子だし」
「あっちがひとりで来るとは限らないだろ。男連れの可能性だって考えられる」
「けど、絶対に祥太の事だろうし……。室井さんって、祥太が本当に好きだったみたいで、ずっと祥太を追いかけてたから……」
「だから大丈夫とはならないだろ。むしろ、そういう度がすぎるくらい一途な女の方が常識が見えなくなって危ない事平気でしそうだし」
まぁ、言い方はアレだけど、風間の言い分も分かるだけに、何も言わずに苦笑いを返した。
室井さんからメールが届いた翌日、仕事中、空いた時間に村田さんに暗い顔を突っ込まれて白状したところ、なんですかそれ!修羅場じゃないですか!と大声を上げられてしまい。
それを聞いた社員の間を村田さんが修羅場だとか叫んでいたという話が広まり、それは整備室まで行き届き、風間の耳に入ってしまって。
おっかない顔した風間に詰問されたというわけだ。