イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「私もそろそろ浮気でもしようかな。祥太と同じように自分にも後ろめたい部分を作れば、祥太の事も大目に見られる気がするし」
「浮気して、祥太と同じ立場になれば、きっと祥太にまた浮気されたとしても傷つかずにすむのかもしれないし」

そんな事をひとりでべらべら話す私を、風間はじっと見つめて。

それから、なんで泣いているのかを聞いた。
風間に言われて初めて、自分が泣いている事に気づいて……正直驚いた。

祥太の浮気なんて今に始まった事ではないし、付き合っている七年の中でもう何度も経験してる。
もうこうなってくるとクセみたいなもので、きっとずっと直らないのだと思うし、諦めてもいる。

嫌なら別れればいいだけの話だけど、一緒にいる七年という年月はすっぱりと切り捨てられるほど軽いモノではないし。
それに、浮気がバレては謝り涙さえ浮かべる祥太に情も湧いてしまって……結局毎回許してしまって、別れる事も出来ずにいる。

祥太のは本当に浮気であって、私の事を一番に思ってくれているのが分かっちゃうから。
だからこそ、性質が悪いのかもしれない。

繰り返されるイタズラを、叱った後、まったくしょうがないわねってため息ついて許すような、そんな感じ。

言葉通りの浮気じゃないって疑う余地があれば、切り離す事だって選択肢に入るのに。
ただの悪いクセだって諦めて許せちゃうような情がなければ、とっくに別れていたのに。

私と祥太が続けてきた七年という関係は、軽くない。
涙を浮かべて許して欲しいって、好きなんだって切々と訴えてくる祥太を見限るなんて事、私には無理だった。


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