イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「私は、大事にしてきた……。ずっと、祥太が好きだったし、祥太を一番に考えて大事にしてきたっ。
浮気だって、したくてしてるわけじゃなくて、ただ断れないだけなんだから仕方ないって思いこめるように努力もした……っ。本当は嫌なのに……そんな、必要のないような努力ばっかりずっとしてた……っ。
祥太と、一緒にいたかったから」
浮気されるのなんて嫌なのに。
祥太を受け入れるために、浮気さえ受け入れて……それをなんでもないって思えるように、自分の本質的な部分まで変えようと努力だってしてきたのに。
「そういう気持ちを何度も裏切られ続けてきたのに……私はいつまでも祥太だけを想って大事にしなくちゃいけないの……?」
自分はもうこんなにボロボロなのに?
こんな日中の公園でする話じゃないし、いい大人が白昼堂々泣くべきでもない。
分かっていても、こみ上げてきた涙が瞳に留まらずに溢れてしまっていた。
動揺している室井さんの顔が、涙で歪む。
見えるモノ全部が、歪んで見えた。
「祥太を好きだし、今だって大事に思ってる。守ってあげたいとか支えてあげたいっていう気持ちだって……まだある。
でももう……」
耐えられない――。
言葉にした途端に、すぅっと身体から力が抜けていくのが分かった。
今まで私の中心になっていた部分が、すぅって消えていき、どこが前か分からなくなる。