イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
きっともう、とっくの昔に限界なんてきてた。
初めて浮気をされて、やっとの思いで許したのに、また祥太がそれを繰り返した時。
二度目の裏切りの時にはもう、限界を感じてた。
それでも許したのは純粋に祥太が好きだったからだ。
恋愛感情として。
“好きなのは実莉だけなんだ”
“実莉に愛想つかされたら俺、生きていけない”
“実莉のいないこれからなんて、考えられない”
“もうしないから……。頼むから、実莉”
祥太の言葉を信じたかったし、まだその時には信じようとも思えた。
こんなに言ってくれるなら、もう浮気なんてしないハズって。
だけど、初めての浮気から一年が経って、三度目の浮気をされた後。
そんな言葉を……祥太の何十回もの謝罪を受け入れたと同時に、私は祥太への恋愛感情に鍵をかけた。
もう、想っていたってツラいだけだから。
同じように大事に想ってもらえないのなら、私だけがこんな気持ち持っていても仕方ないって。
そうまでして祥太と別れなかったのは、それまでずっと一緒にいた祥太への情だったり、謝られると弱いっていう事だったり……あとは、単純に祥太を人として好きだったからだと思う。
……友達として。
浮気さえなければ、祥太の人柄は今だって大好きだ。
明るくて人懐っこくて、人を疑うなんて事ができなくて。びっくりするほど優しい。
長い間、そういう部分を見てきて愛しいと思っていたし、好きでもあったから……別れに踏み切れずに、タイミングを完全に逃していた。