イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
私の気持ちに鍵さえかけてしまえば、何も問題なくやっていけると思ってた。
傷つく事もなく。でも……それは私の思い違いだ。
鍵なんかかけたところで私の気持ちは守られるわけじゃないし、繰り返される祥太の浮気に傷つかないハズもなくて。
知らんぷりして見ないふりしてきたけれど、気付いたらもうボロボロだった。
だから、違う手段を考えて、風間を利用してまでして同じラインに立って許そうとしたけど……そこで気づいた。
『おまえはもっと、自分を大事にするべきだって言ってんだよ』
『自分を傷つける祥太を許すために、俺と寝るとか……どう考えたっておかしいだろ』
私がそこまでして守るべきものは、祥太との関係じゃなくて自分だって……風間に気付かされた。
「……ごめん。もう、無理なの」
俯いて顔を覆う私に、後ろから近づく足音が聞こえる。
それが誰のものか分かって、ほっとする胸に気づいた。
静かに雨が降っていた。