イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
風間の部屋には、大学時代を含めてもう何十回と来た事があるけれど。
シャワーを借りたのは、今日で二度目だった。
風間が言う“共犯者”になってからは、今日が初めて。
もっとも、私はあの夜の事がふたりの共犯だとは思っていないけれど。
あれは……風間の優しさを利用した、私ひとりの罪だから。
風間が用意してくれた服を着てから、脱衣所にある鏡に映る自分を見つめる。
今まで、目を逸らしてきた自分の気持ちを真っ直ぐに見つめるように、じっと。
祥太への気持ちは、嘘なんかじゃなかった。
中学の頃からずっと一緒にいた祥太に、何年も片思いをしてきて、高校三年生の時、祥太が告白してきてくれた時には18年間生きてきた中で一番嬉しかったと言い切れるほど嬉しかった。
自分の気持ちに自信があった。
この先もずっと祥太を好きで居続ける自信が。
だって、六年も片思いしてきたんだから。
大好きで、大切すぎて失えないと思って手を伸ばせないほど、想ってきたんだから。
祥太が今まで通り笑顔を向けてくれなくなる可能性があるなら、告白なんかしない。
祥太をこの先失ってしまうなんて考えたくもなかった。
だから、高校三年生、夏休みを目前にした放課後の教室で好きだって告白してくれた時にはただ驚いて……嬉しすぎてすぐに声が出なかった。