イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


っていうか、こんなの不謹慎だ。
祥太との関係をきちんと清算してもいないのに風間に何かを期待しちゃうなんて……っ。
そう考えてから、ふっと冷静になる。

今更何が不謹慎なんだろうと。
浮気を何度も繰り返す祥太に後ろめたくなるなんて事は、恐らくこの先いくら私が浮気を繰り返したところでない。
祥太以上の回数の浮気を重ねたって、きっと祥太に悪いなんて気持ちは持てないと思った。

その事に、一度、風間と関係を持って気づいた。

「――莉。実莉」
「え……あ、ごめん。なに?」

返事が遅れて慌てて顔を上げると、風間が訝しげにこちらを見ていて。
何を考えているのかを聞かれる。

「祥太の事か?」

答える前に言い当てられてしまい、苦笑いをこぼしながら頷いた。

「うん……。室井さんと、ずっと連絡取ってたんだって。
室井さんとの浮気がいつだったかは覚えてないけど、多分、二年以上はたまに連絡して……会ってもいたみたい」

全然気づかなかったなぁと自嘲するように笑ってから、ため息を落とす。

「私、多分……祥太のそういうところ、わざと気づかないようにしてたんだと思う。
怪しいなって部分に気づいても決定的なものを突き付けられるまでは知らんぷりしてた。
きっと、気付こうとすれば、室井さんとの事も……その他の事も。もっと祥太の事気付けてたのに、そうしなかった」

そうまでして祥太との関係を続けたかった。
だけどそれは……その時の想いじゃない。
長い間抱き続けてきた恋心の残像を今の気持ちだと勘違いしてただけだ。

祥太への気持ちが冷める事があるなんて、考えたこともなかったから。
そんなの全部、私の思い込みだったのに……今までそれに気づかなかった。

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