イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「私が、いけなかったんだよね。風間は何度も何度も注意してくれたのに……好きって気持ちを過信しすぎてた。
変わらないモノなんて、ないのにね」

膝をぎゅっと抱えて座りながら自嘲して笑みをこぼす。

出会ってすぐの時から、風間はいつもおまえは本当にそれでいいのかって何度も聞いてくれていたのに。
言われる度に何も言えずになんとか微笑む事しかできなかった自分が、もう答えだったのに。

「共犯だろ? おまえだけが悪いわけじゃない」

膝を抱き締めたまま顔を上げると、隣に座っている風間と目が合う。
真剣な瞳を見つめ返して……ああ、大学の頃から風間は全然変わらないなと思った。

私に本当にいいのかって聞いてくる時、風間はいつもこんな目をしてたから。

あの頃はこんな風に見つめられても、なんとも思わなかったのに。
今は見つめられるだけで速度を上げる胸が苦しい。

「おまえの優しさだとかが祥太の悪い部分を助長させたかもしれないけど、でも元はと言えばあいつが……」
「優しさなんかじゃない……っ」

口調を強めた私に、風間の瞳がわずかに大きくなった。

持っていた、ココアの入ったマグカップをローテーブルに置いてから、風間と向き合うように座り直した。
真っ直ぐに風間と向き合えるように。


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