イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「風間は、私を買い被ってる……っ。
優しくなんかないよ。ただ、自分の気持ちを過信しすぎて、鈍感になってて、別れるタイミングを見逃してるだけで……優しくなんかない。
本当に優しいなら……あの時、風間を利用したりしなかった……っ」
見つめる先で、風間の瞳が驚きからか揺れて……そして細められた。
「俺のせいで、苦しんでんのか」
そう呟くように言った風間に、ぶんぶんと首を振って否定する。
溜まっていた涙が、その反動に耐え切れずに宙に弾けた。
「違う……風間は何も悪くないじゃない。あの時の事は、全部私が……っ」
溢れ出した涙を手の甲で拭っていると、不意にその腕を掴まれて……。
驚いて身体を揺らすと、ツラそうに目を細めたままの風間が私を見つめていた。
風間の熱い想いが伝わってくるかのようなその瞳に、どうしょうもなく胸が締め付けられる。
見つめられたまま魔法でもかけられたみたいに動けなくなった私の腕を、風間がぐっと自分の方に引いた。
小さな声を上げてバランスを崩して倒れた私を、風間の胸が抱き止める。
苦しく感じるほどに強く抱き締める風間の腕に驚いて……少しそうしてからそっと胸を押し返した。