イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「離して、風間……」
けれど、風間は離す事なく、それまでよりも巻きつける腕に力を込める。
押し付けられた胸から聞こえる風間の鼓動は速く、服越しに伝わってくる体温は熱かった。
強い力で抱きすくめられて……でも、それとは違う理由で息が詰まりそうになる。
溢れ出てくる想いに、収まったハズの涙がじわりと浮かび始める。
だけど、溢れてる想いって一体どっちの――?
「離して……っ」
「嫌だ」
「風……」
「全部、俺のせいにすればいいから」
「え……?」
「この間の夜の事、おまえは何も悪くない。全部、俺が勝手にした事だ。
だから、その事で自分を責めるな」
一気に溢れ出した涙が、頬を伝っていた。
その涙を押し付けるように風間の胸に顔をあてて……声を絞り出す。
「なんで、そんなに優しくするの……」
何も答えない風間に、止まらない涙をそのままに続けた。
「風間に触られると、祥太への自分の気持ちが見えて嫌になるの!
今まで必死で守ってきた関係が、とっくに恋愛じゃなくなってたって、気付いちゃって……わけが分からなくなる……。
今の私が本当に好きなのが誰なのか……分からなくなる」
混乱した頭の中で、風間と祥太の存在がゆらゆらと揺れていた。
ずっと、祥太しかいないと思ってた心の中に……鍵をかけた心の中に。
なんで、風間がいるの。