イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


抱き合ったままの会話。
風間の胸越しに聞こえてきた「まぁな」って言葉に愛しさだとかそういう類の感情が込められている気がしてしまって。
どうしていいのか分からずに、熱を持った頬を隠したい一心で再び憎まれ口を叩く。
ううん。叩こうとした。

「素直な子を探せばいいじゃない」なんて。
でも言い終わる前に、風間が「いらねーよ」なんて言うから……ますます胸が苦しくなった。

「実莉」

名前を呼ばれて、ゆっくりと顔を上げると男の目をした風間がいて。
誰かに掴まれたように締め付けられる心臓を我慢してきゅっと唇を結んでいると、不意にキスされる。

驚いて腰を引こうとするのを見越していたように身体を両手で押さえつけられてしまって……閉じたままの唇に舌を這わされた。

至近距離から見つめてくる熱い視線と、唇を這う舌に。
恥ずかしさでどうにかなりそう。

「実莉、口開けろ」

風間の低い声に背中をぞくぞくとしたものが走る。
そんな恥ずかしい命令に従えるわけがない。

この状況で今口を開けたらどうなるのか……その先を考えただけで身体が変になりそうだった。

嫌だ嫌だと駄々こねるようにぶんぶんと首を振る私を捕まえた風間の親指が、強引に唇を開く。
そしてそのまま唇を奪われて……入り込んできた風間の舌に、背骨から溶けていく感覚に陥った。


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