イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
責任とか罪の意識だとか、罪悪感だとか。
重たそうなモノは全部、持ってくれようとして……〝無理やり〟してるんだ。
……風間は。そんな風に思いながらも、ひどくしてるつもりなのに、実際にはこんなに大事に触れちゃってるって、自分でも気づいてないんだろうかって考えたら、なんだかおかしくなった。
本当に……バカな男だと思う。
私なんて放っておけばいいのに。苦しんでたって何してたって自業自得なんだから、助ける必要なんかないのに。
私なんかに……こんなに優しくする必要なんかないのに。
涙の浮かぶ瞳を細めてなんとか笑みを作ると、その向こうで風間が不思議そうに眉をしかめた。
そんな風間に手を伸ばして、抱き寄せる。
持たせてなんてあげない。
苦しくてもツラくても全部、私のだから。
全部、私の罪だ。
風間になんて、持たせてあげない――。
「風間、もう、欲しい……」
あの夜。風間と初めて関係を持った夜。
あんなに望まれても口に出すのに抵抗があった言葉が、今は平気で声にできて。
その事実に、自分の中でガラガラと何かが音を立てて崩れた気がした。
私は、祥太との関係を守りたかったから浮気したのに……。
今、こんな恥ずかしい言葉を口にしてまで守りたかったのは――。
他でもない、目の前の風間だった。
風間が驚いたような顔をして私を見る。
あの夜は私に執拗に言わせようとしたくせに、今は言われたくなかったみたいで。
驚いた顔がみるみるうちに、ツラそうに歪んでいった。