イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「そんなに、ひとりで背負いたかったの……?」
マゾ、と笑うと、風間は苦しそうにぎゅっと目をつぶって……それをゆっくりと開いて私を見た。
熱のこもった瞳に、胸が熱くなる。
「黙って守られてればいいのに……なんでそれができねーんだよ」
「ふ、ぁ……っ……あっ」
途端に、それまでとは比べ物にならない感覚が襲ってくるからどうしたらいいのか分からなくなる。
何かを掴んでいないとどこかに放り投げられてしまいそうな感覚に陥って思わず抱きついた私に、風間は色っぽい吐息をもらしながら「目、開けろ」と告げる。
私がその通りにすると、ぼんやりとした視界の向こうには額に汗を浮かべこちらを熱い感情のこもった目で見つめる風間がいて。
その表情に、胸がドキンと跳ね上がった。
「今抱いてるのが誰か、しっかりその目で見ろ」
真剣な瞳に射抜かれて、言葉がすぐに出てこなかった。
まるで俺を見ろってお願いしているみたいな風間に、限界の速度で動き続ける心臓が締め付けられる。
「そんなに俺に悪いと思うなら……好きって言え」
掠れている低い声。何かに耐えるように細められている瞳。頬を包む、大きくて温かい手。
優しい眼差し。
たくさんの……想い。
風間がくれるすべてのモノに、言い表せないくらいに満たされ、溢れる。
――もう、誤魔化せない。
ほとんどなくなったような思考回路の中、本能からかそう思った。