イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
祥太を好きなのに……私は一体いつからこんな風になってしまったんだろう。
いつ、気持ちをはき違えてしまったんだろう。
いくら好きでもどうにもならない事もある。
そんな言葉を聞いた事があるけれど。
それをもっと早くに気づくべきだったと、今更思う。
いくら好きでも、自分の気持ちを押し込んでまでして関係を続けようだなんて思っちゃいけなかったんだ。
自分の気持ちを押し込んで、感情を殺した時点で……きっと私の恋は終わってたのに。
ずっと片思いしてきた過去の想いに囚われたまま、自分の気持ちの変化に気付かなかった。
祥太を好きでいる事は、私にとってはそれまで当たり前で、揺るぎない気持ちだって思い込んでいたから。
好きじゃなくなるなんて、考えてもいなかったから……その思い込みのせいで、気持ちが変わった事に気づかなかった。
本当は、とっくにこの恋は終わってたのに。
友達として祥太を好きだって気持ちが、それに気づく邪魔をしていたのだから、皮肉なモノだ。
好きは好きだけど、もう――。
「実莉ー」
室井さんとの事があった、翌週の日曜日。
待ち合わせしていた公園中央の噴水の前でゆっくりと振り向くと、顔よりも高い位置で手を振る祥太の姿があった。