イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


その様子に、会うのは久しぶりだなぁと感じた。
祥太と会ったのは、祥太が私の職場に来た時以来だから、約二週間ぶりだ。

それくらいの期間なら会わない事はたくさんあったし、むしろそれが私と祥太の間では当たり前になっていたから、こんな風に久しぶりだなぁなんて思うのが新鮮だった。

気持ちにかけていた鍵を解いた途端にこんな事を思うんだから、今までの私は本当に少しおかしかったのかもしれない。
祥太がしてきた事を、今も決してDVだとかは思わないけれど……心に変なスイッチをつけておかしなループに入り込んでしまっていたのはきっと事実だ。

好きな人には毎週会いたいし、浮気だってして欲しくないし許せない。
祥太といるために押し込んだ気持ちは今は解放されて、私の中にきちんと存在していた。

こっちに歩いてくる祥太から上に視線をずらすと、キレイな青空が広がっていてそのクリアさに思わず目を細める。

祥太にまだ片思いしていた頃、確か空はこんな澄んだ色をしていたなぁと懐かしくなった。
同時に、自分の気持ちを押し殺してまで一緒にいた祥太の隣で見上げた空はなんだったんだろうと思うと、苦笑いがこぼれる。

我慢しなきゃ。許さなきゃ。笑わなきゃ。
勝手にそんな風に思って、強引に気持ちを押し込んだせいで、きっと私はそれ以外のたくさんのものがきちんと見えていなかった。

空も、その他の景色も……自分の気持ちさえも。

間違った恋だけに囚われていた。

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