イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「ずっとね、我慢してたの。祥太はそういう人だから悪気はないんだから仕方ないんだって、自分に言い聞かせて。
でも私は……本当は、祥太が他の子と仲良くしてるだけでやきもち焼くし、ふたりきりじゃなくても、他の女の子と会うのだって嫌だった」
私の言葉に、祥太がツラそうに表情を歪めたまま聞く。
「でも、実莉、俺が飲み会だとか言っても平気な顔してたし、そんな事一度も……」
「言ったよ。祥太が初めて浮気した時に。
もうこんなのは嫌だって、気持ち全部言った。でも……二度目の浮気の時に、諦めたの。やめてってお願いする事も、嫌だって泣く事も……多分、祥太への気持ちも。
その時に、全部諦めた」
私が言おうとしている事が分かったのか。
祥太はツラそうな顔を消して、ただ呆然として……それから、慌てたように謝りだす。
「実莉、俺、本当にもうしないし、実莉が嫌だって言うなら他の子とも絶対に会ったりしないから……っ。
電話とかメールだって、実莉が嫌なら連絡先も全部消す」
「でも、相手の子に泣かれれば、祥太は可哀想になって優しくしたくなっちゃうんだよ。
祥太がそうした事で私がどんな思いをするかすっかり忘れて、目の前の相手にだけ一生懸命になる。
もう……何度も繰り返してきた事だし、祥太だって分かるでしょ?」
しかめそうになる顔で必死に微笑んだ私を見て、祥太が眉を寄せる。