イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―



風間と初めて出会ったのは、大学に入って一ヶ月も経たない頃だった。
カッコいいけどとっつきにくい怖い人がいる。そんな噂をされているのは友達から聞いていたから、祥太に友達だと風間を紹介された時に少し驚いて。
そして、噂が正しい事を知った。

祥太と三人で話していても主に祥太の揚げ足を取るかツッコむかって感じで自分の事は言わない風間。
何に対しても興味ないのかって思うくらいに、祥太の話にも他の誰の話にも自分から食いついて聞いたりはしなかった。

そんな風間が、私に今のままでいいのかって初めて聞いてきたのは、私が祥太の二回目の浮気に感づいてしまった時だった。

他人の事なんてほとほと興味のなさそうな風間が、まさか私と祥太の恋愛に首を突っ込んでくるなんて思わなかったから最初はちょっと驚いて。
でも、すぐにその意味に気づいた。

風間が祥太の浮気を知ったから、こうして言ってきてくれたんだって。
自分からはあまり進んで話しかけてきたりはしないけど、間違った事だとかが好きじゃないって事は三人で時間を過ごす中で分かってたから。

祥太の浮気を許せなくて、それを知らずに私が呑気に笑ってるのが見ていられなくて……そんな気持ちで話してくれたんだって気づいた。
言い方が漠然としてたのは、私が浮気の事実を知ってるかどうか試すためだったんだと思う。

私が何も知らないようなら自分があえて言う事でもないと思ってたのかもしれない。

間違った事は嫌いだけど……風間は、人を思いやる心も持っているから。

< 147 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop