イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


ふたりの間で、繋がれたままだった手が揺れる。
それが祥太の動揺を表してるって分かったし、今の祥太の気持ちを考えると躊躇したくもなった。

祥太は甘えん坊のところがあるし、私と一緒でそんなに強くない。
弱いからこそ、本当の優しさを選べずに、その場しのぎで浮気しちゃうくらいに。

本当の優しさは、時に自分も一緒に傷つかないといけないから。

だから祥太は、告白されてもそれを上手く断れない。
振った時、自分を想ってくれたのにって自分自身が傷つくのも、相手の子が断られたって傷つくのも嫌だから、きちんと断れずにその場しのぎの優しさを選んでしまう。

仕方ない男だと思う。
でも……決して悪い人じゃない。
臆病で優しさの意味をはき違えてるだけで、私の事だってちゃんと想ってくれてた。

祥太のいいところは悪いところ以上にたくさんあるし、そういうのを許せる人だってきっといる。
祥太だってこれから変わっていく。

だけど……私にはもう、祥太の隣にいるのは耐えられないし、もう、本当の自分を偽りたくはないから。

「終わりにしよう、祥太」

意思を持ってハッキリと言った私に、祥太はしばらく黙って……それからますます顔を歪めた。

「なんて言えば……許してくれる?」

小さな声で言われて、黙って首を横に振る。

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