イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「私だって浮気したんだし、許すとか許されるとかじゃ……」
「許すよっ! 実莉の浮気、許すから……っ。もう絶対に実莉が嫌がる事はしないし、誰から誘われてもちゃんと断るから……っ。
実莉以外には優しくしないようにするし、実莉がやきもち焼いたりする事ももうしない。だから……っ」
「無理だよ、もう……」
「無理じゃないよ……っ。だって、今までだってずっとやってこれたじゃん……。
今まで実莉が我慢してきてくれたって言うなら、これからは俺が我慢だってするし実莉を支えるから……!
俺……確かに、他の子に冷たくするとかできなくて、いい顔ばっかしてた。
でも、本当に大事なのは実莉だけなんだよっ。付き合い始めてからずっと!」
中学の頃から数えて10年近く一緒にいるのに、初めて見るような必死の顔だった。
いつもの浮気の弁解の時とは比べ物にならないほどなりふり構わずすがってくる祥太は、見ているのがツラくなるほどで……我慢してた涙が浮かびだす。
繋いだままの手を力強く握る祥太に、目を伏せたまま、もう一度首を横に振った。
「もう、気付いちゃったから、自分の気持ちに。祥太は今でも好きだけど……それは友達としてだって。
情ってわけじゃないけど……それに近いものなんだと思う」
「いいよ、友達としてでも! 付き合っていくうちに、また好きになってもらえるように頑張るから……っ」
浮かんだ涙が目尻に溜まって、首を振る度に宙に舞う。