イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「中一から祥太に片思いして、高三で告白してもらって……祥太の二回目の浮気が分かるまでは恋愛感情だった。
そこでもう……私の恋人としての気持ちは、終わってたの。
大学一年生の途中には、もう……」
「そんな前に……?」とショックを受けた表情を浮かべる祥太に、頷いた。
「私が、間違えたの。本当だったら、そこで終わりにしなくちゃダメだったのに……祥太を好きじゃなくなるハズないって思いこんでたから。
祥太と一緒にいる時間は変わらず好きだし、私さえ祥太を許せれば問題ないんだからって、祥太を許す事に必死で、自分の気持ちの変化に気付かなかった……。
あの時、私が間違えたの……」
なんとか吐き出すように言った私の頬を、涙が流れ落ちる。
その滴がいくつか地面に落ちた時、祥太が静かな口調で言った。
「なんで……過去形なんだよ」
力の抜けたような笑顔を浮かべた祥太が、私の両肩を掴む。
「なぁ。好きだったとか……傍にいたかったとか、全部、過去形なのか? 全部……?」
嘘だろ?そんなニュアンスで聞く祥太に胸の奥の方がじくじくと痛んだ。
「ごめん」って、たった三文字を声にするのがツラい。
「俺の事……恋人としてはもう好きじゃないの?」
自分では言う事ができても、祥太のこの問いかけに頷くにはかなりの勇気が必要に思えた。
何にだか痛む胸を感じながらもコクリと頷いた私に、一拍置いてから祥太が続ける。