イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


祥太と別れて分かった事がひとつある。

祥太と別れたからって風間とどうこうなろうとは思えないって事だ。
別れたからじゃあ風間と……なんて、そんな都合のいい事はできないし、したくもないと思った。

色々理由はあったとしても、別れを告げた事で私は少なからず祥太を傷つけたのに、祥太の友達である風間と……なんて考えられない。

それを考えると、私が今まで風間にしてきた事は最低以外の何物でもなくて。
風間の気持ちを利用したのは私なのに、それ全部自分が悪いと言ってくれた風間の想いに胸が潰されるみたいに痛んだ。

別れた事を風間に伝えなくちゃとは思った。
だけど……伝えたところで私が今こんな状態じゃどうにもならないと思って、結局何も言えずにいる。

祥太とはきっちり話をして終わったのに。
円満に別れられたハズなのに……。祥太を泣かせたっていう事実だけが大きく残っていて、他に頭が回らない。

わずかに感じている喪失感の何倍もの罪悪感で、それ以外の気持ちがすべてどこか遠くに感じる。
……風間への想いさえ。

「そんな傷ついてる顔して隙見せてたら、すぐ悪い男に狙われちゃいますよ」

ぼんやりとして俯いていると、不意に隣からそんな事を言われて。
顔を上げると、にっと口の端を上げた村田さんが私を見ていた。

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