イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「祥太から言われたら、もうさすがに俺を見るだろ?」
ふっと笑う風間に、ぎゅっと奥歯を食いしばった。
溢れた涙が頬を伝って顎から落ちる。
「私は……」と、話し出した声が震えていた。
「私は……祥太の、彼女だったんだよ……?」
祥太は風間の友達でもあって、私はその祥太の彼女だった。
そんな事実を告げたって今更なのは分かっていたけど……言わずにはいられなかった。
だって、簡単に受け入れられる事じゃない。
「知ってる」ってあっさり返されたけど、風間が本当にその意味を分かってるとは思えなくて、もう一度言う。
「私は、祥太が好きだったし、風間の事だって今まで散々……」
「全部知ってる」
ハッキリとしていて重みのある口調に思わず黙ると……「全部、隣で見てきたから」と言われて。
その言葉に、唇を噛みしめた。
そうだ……。風間は全部見てきたんだ。
私が風間の気持ちに気付く前からずっと、見守ってきてくれたんだ。
風間は、祥太と私の事を全部知ってる。私がどんな女かも全部。
全部知ってるくせに……なのに、なんで――。
「なんで、私なんか……」と、無意識に声が漏れていた。