イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「なんで、そこまでして……私の事……」
「好きだって、言っただろ」

すぐに返ってきた言葉に驚いてまた涙が溢れた。
風間が、そんな優しい目で見てきたりするから、余計に。

「俺はおまえがいいし、祥太との事も全部分かってるよ。
だから、要らない心配して考えるな」

そう言った風間がふっと優しい笑みを浮かべる。

「どんだけ眺めるだけで我慢してきたと思ってんだよ。
チャンスが目の前にあるのに黙って見てるなんて勿体ない真似、するわけねーだろ」

「もういい加減、俺のモンになるだろ?」と笑みを浮かべて聞く風間に少しびっくりしてから、ふっと笑みをこぼした。

「偉そうに」
「何年待ったと思ってるんだよ。もう……待たない。おまえが嫌がって泣いても……もう、他の男のところなんか行かせない」

頬に触れた手が、涙を拭う。
いつも優しく私に触れる手にそっと頬を寄せるて、風間を見つめた。

「行かないよ……もう、どこにも行かない。風間の傍に、いたい」

そのまま近づいて唇を奪うと、わずかに驚いた表情を浮かべる風間と目が合う。

「待っててくれて……想ってくれて、ありがとう」

最後に「好き」と告げた私に、風間が片眉を下げて笑う。

「足りねーよ。俺は何年想ってきたと思ってんだよ。一生を持って返せ」

偉そうに。
言おうと思った言葉が、風間の浮かべる微笑みを見た途端、消える。




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