イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「それ、今更言うかー? 大学ん時からの付き合いなのに」
「いや、ずっと思ってはいたし。
気づいてなかったのか? 祥太の友達関係から俺がだんだんフェードアウトしてってるの」
「気づかな……ああ、でも、確かに大学一年の夏休み明けくらいから俺が誘っても断る機会増えたよなぁ。
今じゃ俺が声かけても全然来ないし……え、それってまさか意図的?」
「まぁ、八割くらいは」
「ほぼ意図的じゃんっ! えー、なんだよ、俺嫌われてんの? ああでもこうして会いにきてくれるって事はそういう訳じゃないのか。
ただうるさいから会う回数控えられてるだけで……えーそれでもショックなんだけど」

マジでーうわー六年間知らなかったーと、祥太からショックが駄々漏れてくる中、隣を見ると、風間は平気な顔して枝豆に手を伸ばしていた。
例えうるさくても六年代の友人にズケズケ言ってショックを与えておきながら、よくツマミを食べられるものだと感心する。

「風間誰に対してもそうだけど、もう少し言葉をオブラートに包まないと周りに誰もいなくなっちゃうから」
「気使わなきゃ一緒にいられないようなヤツだったら最初からいらないだろ。
仕事関係なら気使う必要もあるけど、プライベートまでんな事してたら逆に疲れるだけだし」

まぁ、風間の言うとおりだなとは思う。
とはいえ、ショックを受けたまま頭を抱えている祥太を見ていると、風間に同意するのも躊躇われてしまって。

どうしようかと祥太をチラチラ見ながら考えていると、隣からため息が聞こえてきた。


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