イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「俺は嫌いなヤツとは付き合わない。ただ祥太と会うのは今くらいの頻度がいいって言ってるだけだろ。
男が男にちょっと言われたくらいで落ち込むなよ。うっとうしいヤツだな」
風間の若干トゲトゲしいフォローを受けて、祥太が顔を上げる。
後半部分に関してはまったくもってフォローになっていない上、最終的にはうっとうしいとまで言われてるのに、祥太からショックを消すには十分だったらしく。
眉間にシワを寄せながら頬杖をつく風間を見た祥太の顔がパァっと明るくなった。
「なんだー。俺実は嫌われてんのかと思ったー。いやー、焦った!
六年間友情感じてたの俺だけかと思ってびびった」
よかったよかったとビールに手を伸ばす祥太を見ながら、本当になんて単純で幸せな男なんだろうと呆れてしまう。
二十四年間生きてきて、どうしてここまで擦れずに素直でいられるんだろう。
擦れずにというか、自分に都合のいい部分のみをすっと信じるというかなんというか。
よく言えば、とてつもなくポジティブとも言えるけど、もっと慎重さだとか猜疑心を持った方がいいと真剣に思う。
他人に対しても、自分に対しても。