イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
私と風間の勤める支店の従業員は二十人ちょっとでそんなに多くはない。
受付が私ともうひとりの女性社員で、後の営業と整備は男性社員のみ。
平日でもレディースデイや平日割を実施しているから、特別混み合う休日以外もそれなりに忙しい日々を送っている。
「実莉は仕事どう? 受付嬢」
急に話を振られて、「別に普通かなぁ」と答える。
お客様が打ち合わせでもしたように一気に来店された時とかは大変だし、そのほかでも雑務も多い。
でも、ノルマがどうとかはないし。
「まぁ、営業と比べたら全然マシなのは確かかなぁ」
「そっかー。でもそうだよな。笑ってるのが一番の仕事って感じだし、楽しそうだよなー」
「……そうでもない時もあるけどね。たまに、笑顔だけじゃ対処するの難しい時もあったりする……」
「客にしつこくナンパされたり、定期的に店舗巡りしてくる本社のヤツにセクハラ受けたり?」
枝豆片手に割り込んできた風間に、顔をしかめる。
「なんで知ってるの?」
「見かけた営業から話聞いたから。営業、大体ひとりはロビーいるし、それで」
「えっ、実莉、セクハラなんか受けてんの?」
「セクハラっていうか……そんなたいしたもんじゃないよ。
肩抱かれたりお尻撫でられたりしただけだし」