イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


いつか、DV被害を受けていた女の子がテレビで言っていたのを覚えてる。

離れてみると、そこに愛情なんてものはなく、抜け出して目が覚めて初めて、それまでの異常性に気づくものらしい。
逆にいえば、付き合っている間は、DVがふたりの間では当然だったって事だ。
ふたりの間にある変な関係やルールから抜け出せなくなっていただけだって。

本当におかしかったと今は思う、そう言っていた。

そんな関係と、私と祥太の事がまったく同じだって言われると、そうじゃないと言いたくなる。
とはいえ、否定しきれないのも確かで。
もしかして渦中にいるから否定できないだけなんじゃ……?とか思ったりもしていて。

自分の気持ちだろしっかりしろっと自分自身にツッコみたくなりながら、目を伏せる。

「でも、祥太は乗り気で浮気してるわけじゃないし。
優しすぎて相手の子断れなくてその結果だっていうのは、分かってるから」

まるで自分自身に言い聞かせるような口調だな、と自分の事なのにどこか遠くの方で思う。

そんな私をじっと見た後、風間が「それ、本当に優しいのか?」とぽつりと言った。

「どういう意味?」

聞きながら視線を上げると、風間は「別に」と答える。

「俺がいっくら助言してやっても、優しい優しい実莉は結局祥太の浮気を許し続けるんだろうし」

癪に障る、イヤミな言い方をした風間を、ムっとしながら見上げた。

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