イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「なに、その言い方。ケンカ売ってんの?」
「で、優しい実莉は、俺の強引な行為も許すんだもんな。すげぇよ」
「……ケンカ売ってんのね。よーし、買おうじゃない」
「売ってない」
両手でグーを作ってファイティングポーズをとろうとした私を風間が止める。
どう考えたって売ってたじゃないと怒り顔のまま言うと、風間はじっと私を見つめて。
真面目な顔をした。
「おまえはもっと、自分を大事にするべきだって言ってんだよ」
「別に粗末に扱ってるつもりもない……」
「自分を傷つける祥太を許すために、俺と寝るとか……どう考えたっておかしいだろ」
最後は、絞り出すようにして言った風間の顔は、いつの間にかしかめられていた。
傷ついている瞳に、昨日の情事を思い出す。
「なんで怒るの? 昨日の事は風間から始めたんじゃない」
「怒ってねーよ」
「怒ってるでしょっ」
「怒ってねーって言ってんだろ!」
「じゃあ……後悔してるの?」
ヒートアップしていきそうだったトーンを抑えて聞いた私に、風間は少し黙ってからしっかりとした声で答える。