イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「してない。するつもりもねーよ、んなもん。
後悔してるとしたらおまえだろ」
「私だってしてないよ」
「へぇ。おまえの事だから祥太への罪悪感で潰されそうになってんのかと思った」

そんな事を言う風間は、私の性格をよく分かっていると思う。
私だって、風間と一晩過ごしてから祥太と顔を合わせるまではずっとそうだろうと思ってた。

祥太と目も合わせられないくらいに、申し訳ないって気持ちになるんだろうなって。
……でも。実際は違っていた。

「そうなるハズだったんだけど……全然。
祥太に対して悪いだとかいう感情も、これで同じ立場だとかそういう気持ちも湧かなかった」

風間が驚いた顔をして私を見る。

「自分で思っていたより、軽薄な女だったみたい。24年間、自分がそんな女だなんて思った事なかったのに……激しく自己嫌悪。
浮気しといて、平気で祥太と顔合わせて笑えるなんて思いもしなかったのに」

自嘲から笑った私を、風間がじっと見つめてから「しょーがねーだろ」と言う。

一体何がしょうがないのか。
おまえは軽薄な女だから諦めろとでも言いたいのか。

この男はこんな時まで憎まれ口を叩くのかと、眉を寄せていた私に、風間が続ける。

「裏切られた回数が違うんだから」
「回数……」

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