イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
ダメンズウォーカーとかいう言葉を知ったのは、祥太と風間と会った翌日の金曜日の事だった。
「友達がダメ男にばっかハマるんですよね。あれです、ダメンズウォーカー」
「ダメンズ……? なにそれ」
受付として一緒に働いている村田さんから飛び出した初めて聞く言葉に少し眉を寄せると、知らないんですか~先輩~なんて驚いた顔をした村田さんが説明する。
「ダメンズっていうのは、ダメ男の事です。
暴力的だったり浮気を繰り返したり、お金関係がおかしかったりする男の事で、ダメンズウォーカーっていうのはそういう男の間ばかりを渡り歩く女の事ですよ。
ダメ男だって分かりながらも嫌いになれない女を指す場合もあるらしいですけど」
「……へぇ」
身に覚えがありすぎて、自然と「へぇ」のトーンが落ちていた。
開店前のお店。受付の上の部分の電球が切れてしまったから、今はその交換作業中。
車の展示もされている部分やロビーは天井が高く、業者じゃなければ無理だけど、受付部分だけは天井が下がっている。
だから自力交換できそうだと踏んで、村田さんの支えてくれる脚立に乗って、古い電球に手をかけた。